最終手段

英単語「fine(ファイン)」は「素晴らしい」「優れた」の意味の他に、「罰金」という意味を持ちます。一体なぜ「罰金」と「素晴らしい」が結びつくのでしょうか?

「fine」の語源を辿ると、ラテン語の「finis(フィニス=終わり)」に行き着きます。「終わり」すなわち「最大限度」に到達した状態が「素晴らしい」の意の「fine」なのです。「finish(フィニッシュ=終了する)」、「final(ファイナル=最後の)」、「infinity(インフィニティ=終わりのない→無限の)」なども同じ「finis」から派生した単語です。フランスのブルターニュ半島先端やイベリア半島のスペイン最西端には、まさに「地の果て」という意味を持つ「Finistère(フィニステール)」県や「Finisterre(フィニステレ)」岬があります(関連:「所変わればイヌ変わる」)。

一方で「罰金」の意の「fine」は「決着をつけるために支払う」というところから「finis」より生まれました。実は「finance(ファイナンス=金融、財政)」もこの「支払い」に源を発する単語です。因みに「financier〔仏〕(フィナンシェ=資本家)」という名の焼き菓子がありますが、これは証券取引所の近くに住んでいた菓子職人が、金の延べ棒に模して作ったとされています。

ところで日本語の「経済」にも「済」という漢字が含まれていますが、こちらは「済ます」の意味ではなく「救済する」の意味。「(=国を治め民を救う)」の略語です。果たしてこの名が実態に合っているかどうかは… 皆さんのご判断にお任せします。(・_・?


おまけ ― ハイビジョンテレビの正式名称は「high definition television」。略して「HDTV」ともいいますが、この「definition(デフィニション)」にも「finis」が隠れていて、ここでは「鮮明度」を表します。一方「definition」は「定義」の意味で馴染んでいる方も多いと思いますが、これは「終わり」すなわち「境界」をはっきりさせるということから「明確にする」の意味が派生したものです。