野蛮人クリーム?

# 我ながらタイトルの付け方にもっとセンスが欲しいと思う今日このごろ(^_^;)。

食べ物の名前には、「Hamburg(ハンブルク)」に由来する「ハンバーグ(英語は「hamburger(ハンバーガー)」)」や「Frankfurt(フランクフルト)」に由来する「フランクフルト(英語は「frankfurter(フランクファーター)」)」に代表されるように、地名に由来するものが珍しくありません。「wiener(ウィーナー=ウィンナー)」が「Vienna(ヴィエンナ=ウィーンの)」という意味だと知ったときには、同名のコーヒーがソーセージそのものとは何の関係も無いことを知って目から鱗が落ちたものです。このように地名のつく食べ物の例は挙げ始めるときりがないですが、ここではいくつか面白いものをご紹介しましょう。

日本人がよく「南の島ドレッシング」だと勘違いしているのが「Southern Island(サザン・アイランド)」ならぬ「Thousands Islands(サウザンド・アイランド)」ドレッシング。Thousands Islandsとは、カナダのセントローレンス川沿いの風光明媚なリゾート地で、その名の通り川に浮かぶ無数の島からなります。この島の一つにあった別荘おかかえのシェフが考案したためにこの名が付きました。

小学校の給食で鰯のフライと一緒によく出てきた「tartar sauce(タルタル・ソース)」(私の出身地だけか!?因みに福岡市)。子供の頃はソースの粘度が「たるたるっ」という感じなのでそういう名前なのだろう、と勝手に思い込んでいたものですが、現在ロシアのタタール自治共和国となっている辺り、タタール地方に由来します。世界史を勉強された方なら「韃靼(ダッタン)」と言ったほうがピンとくるかもしれません。味付けした牛ひき肉を生で食べる「tartar steak(タルタル・ステーキ)」なるものもありますね。

お菓子の名前はやはりフランス語が多いですが「bavarois(ババロア)」もその一つ。英語で言うと「Bavarian cream(バヴァリアン・クリーム)」と何やらおどろおどろしい名前になってしまいますが、意味は「バヴァリア地方のクリーム」。バヴァリアって一体どこだ?と考えてしまいますが、ドイツ語に直せば「Bayern(バイエルン)」です。因みに「barbarian(バーバリアン=野蛮人)」は全く別の単語ですので「B」と「V」の発音には気を付けましょう。

ほとんど日本語と化しているものに「ジャガイモ」があります。昔は「じゃがたら芋」と呼ばれていたように現在のインドネシアの首都「ジャカルタ」から来たもの。「カボチャ」もなんと「カンボジア」に由来します。さらにすごいのは「トウモロコシ」。現在は当て字で「玉蜀黍」と書きますが、かつては「唐黍(とうきび)」、「唐土黍(もろこしきび)」と呼ばれていたことから分かるように、「トウ」も「モロコシ」も「中国」の意味。トウモロコシは実は「中国中国」と言う不思議な名前だったのです。


おまけ ― 第一次大戦中のアメリカでは「Hamburger(ハンバーガー)」は敵国の言葉という理由で「Salisbury steak(ソールスベリー・ステーク)」と呼んでいました。どこかの国が「ストライク」のことを「よし」と呼んでいたようなものですね。