人生楽ありゃ

今日10月19日「海外旅行の日」。「遠(10)くへ行く(19)」の語呂合わせなのだそうです。現在の旅は通常「楽しいもの」ですが、交通機関もホテルも整備されていなかった時代の旅は、肉体的にも精神的にも非常に苦しいものでした。「かわいい子には旅をさせよ」とか「旅は憂いもの辛いもの」という慣用句は、旅がつらいものであったことを表しています。

英語で旅は「travel(トラベル)」ですが、その語源はラテン語の「tripalium(トリパリウム)」だとされています。「tri-」は「triple(トリプル=三倍)」を始めとして「triangle(トライアングル=三角形)」、「triathlon(トライアスロン←水泳・自転車・マラソンの三競技)」、「tribe(トライブ=部族←元はローマ人の三部族のこと)」、「trivial(トリビアル=取るに足らない←三叉路での立ち話)」、「troika〔露〕(トロイカ=三頭立ての馬橇)」などでお馴染みの「3」を表す接頭語、後半の「palium」の部分は英語にも「pale(ペイル)」として残っているように「棒」の意味、合わせて「三本の棒で作られた拷問道具」。旅は拷問に匹敵するほどの辛苦だったわけです。

さてこの拷問具、フランス語では「travail(トラバーユ)」となって「仕事」を意味します。主に女性をターゲットにしているリクルート社の求人誌「とらばーゆ」は、フランス語をひらがなで表記して柔らかいイメージを出しているものの、その裏には「責め苦となるような労働」が待っているかもしれません ^^;

私は先日長期出張から帰ってきたばかり。仕事も苦痛、旅も苦痛であるならば、出張はその二重苦、さながら六本の棒で拷問を受けるようなもの!? ( -o-)ノ


おまけ ― 日本語では「バイト」と略されていますが、やはり「仕事」を意味するドイツ語「Arbeit(アルバイト)」も本来は「労苦」の意味。語頭の「A」を省くと分かりやすいですが自分の意志とは関係なしに労働を強いられる「robot(ロボット)」も同じ語源の言葉です。