アホウドリ・カツオドリ

今回はスポーツ用語で語源の面白いものをご紹介しましょう。

一番バッターはバドミントンから「shuttle(シャトル=羽根)」の語源。この単語、本来は機織りに使う「杼(ひ=横糸を通す器具)」の意味でした。ネットの上を行ったり来たりする羽根をこの道具の動きに擬えたわけです。「shuttle bus(シャトル・バス)」はある区間をピストン輸送するバス、「space shuttle(スペース・シャトル)」にはそれまでのロケットと違って宇宙と地球を往復する乗り物という意味が込められています。

お次はテニスなどのラケットに張る「gut(ガット)」、辞書を引くと元来の意味は「内臓」。そう、ガットはかつては動物の腸から作られていたのです。「彼はガッツがある」の「guts(ガッツ)」も同じ単語。英語では「He has a lot of guts.」と言います。日本語に訳せば「肝が据わっている」といったところでしょうか。また「tongue(タング=舌)」を「タン」、「hearts(ハーツ=心臓)」を「ハツ」とするなど単語の短縮がお好きな焼肉屋さんでは「豚の胃」のこと「ガツ」と言います。

「volleyball(バレーボール)」の名の由来もなかなか興味深いものです。「バレー」は実はアメリカ英語の発音で、イギリスではどちらかといえば「ボレー」に近く発音されます。テニスでボールがコートに落ちる前に打つことをボレーといいますが、常にボレーで相手に球を返さなければならない球技がバレーボールというわけです。テニスで名高いイギリスと、バレーボール発祥の地アメリカから同じ単語が違う音で輸入されているのが面白いですね。

最後はゴルフ。ゴルフでは基準打数以下の成績に「-1」は「birdie(バーディー=小鳥)」、「-2」は「eagle(イーグル=鷹)」などと鳥の名前を付けていますが、「-3」に当たるのが「albatross(アルバトロス=アホウドリ)」。「鷹」よりも良い成績のはずなのに何だか不名誉な名前ですね。これはアホウドリが海鳥の中でも最大級で、鷹よりも大きいことから付けられたものです。因みに日本語名「アホウドリ」は陸上での身のこなしが鈍いことからそう呼ばれていますが、英語で言えば「ブービー賞」の名のもとにもなっている「booby(=カツオドリ)」が同じ立場の鳥と言えるかもしれません ^_^;。


おまけ ― 「guts pose(ガッツ・ポーズ)」は和製英語ですが、その語源はあの元プロボクサーのガッツ石松。1974年WBCライト級タイトルマッチでチャンピオンに挑み見事K.O.した彼が両手を挙げて喜びを表したそのポーズに、スポーツ新聞がガッツ・ポーズの名を付けたのが初めです。